鑑定家のゆううつ

――鑑定というのは意味がない?

芹沢 ほとんどないと思います。おそらくいま、精神科医の大半が司法や犯罪の問題から手を引きたいと思っている。実際そういってますよね。自分たちは治療に専念したいと。だけど歴史的に精神医学というのは、公衆衛生、社会防衛の主体として形作られてしまっていて、そのなかで近代の刑事システムというのができているから構造的に巻き込まれちゃうんですよね。
第1回 精神病院大国、ニッポンと刑法39条――芹沢一也インタビュー 其の一
http://media.excite.co.jp/book/daily/friday/001/

というか、いつの頃からか精神障害と言えば免罪できるという風潮のやばさを書いて欲しいところなんだけどね。(刑法39条の精神障害者保護がいかんとこの人も批判しているけど)異常かどうかという問題というのは正直家族、地域レベルのカテゴリーで考えないと危ういものがあるんだよね。日本が精神病院大国だというのも、村八分が当たり前になっている社会構造の文脈から引っ張ってこないと「基地外を外に出さないからこそ平和がある」(これも間違いもいいところだと思う意見だが)という反感をもたれるわけだし。
ただ、精神科医の多くが犯罪関係から手を引きたいというのは良くわかる気がする。狂気と犯罪を連動させる思考パターンに飽き飽きしているからだ。正気な一見頭のよいヤツでも犯罪するヤツはするし、精神障害者でもしないヤツはいっぱいいるわけで。むしろ、精神異常者=犯罪予備軍とする世間の論調こそ単純な決め付けだということに気づかないものかね。んなこと言い始めていたらまともな人間なんてこの世からいなくなりますよ。ホント。