ネガティブ・インターネットーはてブの半分のうち、前半はまともに相手にするなー

(前略)
良いインターネットと悪いインターネットというというと善悪の基準が1つあるみたいで良くないけれど。それは僕の好みだと言ってもらってもかまわないけど。
(中略)
 やる気のある若い人たちが、日本文化の将棋を世界に広げたい。この本(シリコンバレーから将棋を観る)を読んで、こういう日本のすばらしいことを英訳したい、仏訳したいとか、そういうような人たちのエネルギーを集める能力を、ネットというものは持っているんだよね。

 僕はウェブ進化論でそういう可能性について描いた。それを高校生で読んだという人が大学の初年ぐらいになってて、かなり多くの人がそういうことにわくわくした経験があって、日本語圏ではなかなか起きてないねと思っているわけですよ。

(中略)

 日本のサブカルチャー領域でのWeb文化の隆盛は十分に分かっていて、敬意を表しています。だから、今さらそういう事例について議論しても、日本のWeb文化が特に変化したとは思えないんだよね。

 ただ、素晴らしい能力の増幅器たるネットが、サブカルチャー領域以外ではほとんど使わない、“上の人”が隠れて表に出てこない、という日本の現実に対して残念だという思いはあります。そういうところは英語圏との違いがものすごく大きく、僕の目にはそこがクローズアップされて見えてしまうんです。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html

この記事ですが日本独自の文化スタイルを反映してて案外面白かったので引用ってことで。

個人的には、ネット文化自体「サブカルチャー領域じゃないか」という疑問があります。
というのもその中でもっとも大きな勢力のオタク文化が、サブの領域を通り越しているんじゃないか、と。wikipadiaではサブカルチャーの対抗のメインカルチャーの定義を「絵画、純文学、クラシック」としてますが、どう考えてもオタク文化の「漫画・アニメ、ラノベ、アニソン・j-pop」に負けてる気がします。つまり、メインがもう古典の古い文化扱いになってるのではないかと。
これがハイカルチャーの敗退というのは視野狭窄、やってるところではきっちりやってるよ、単純にそういう層があんまりネットとコミットしてない、案外そんな物ではないかと思います。
こういうのは、ネットを完全に娯楽として扱い、現実では製造業やその他、「メディア」という概念と関係のある業種で働いてない人はなかなか参入しない、それがいまのネットの現状じゃないかなと。

でも、サブカルチャーとかネットをハイソにしたいとか文化向上計画的側面は別に責める問題じゃない。
それは、単なる文化の一部分であり、それはネット以外でも問題視してる問題なので、ネット技術でフォローする問題じゃない。そんな気がします。
梅田さんの意向を推し進めると、実はおそらくmixiなどのSNSによってほぼ滅んでしまった「個人テキストサイト」のハイカルチャー版(SNSコミュニティだと駄目。なぜなら、それはサロン止まりであり外へのアピールができないから)を構築しないといけないとおもうのです。

が、ハイカルチャー側が、ネットの暗黒面「炎上」に耐えるリスクを負ってまで参入したくない、その気持ちを個人じゃなくて大抵の人間が普通に持つものだということを抜け落ちてる、それが梅田さんの問題だと思います。

実はおいら、前半の文章で「このひと被害者が、加害者にいじめられたトラウマが解消できてない」と思ってて、「日本のネットを「残念」」は変な理論武装だなと思いつつ沈黙してました。

要するにこの考えの底辺にtwitterの炎上事件のトラウマがあるんじゃないか、それでネットに絶望して撤退したい、そんな感じをややこしくいいやがって、みたいな登校拒否の大学生と同じ言い分に思えてしまっていた、という個人的うっとうしさがあって判断保留してたのですが、すこし時間がたって実はネットに関する重い問題を抱えてることを伝えようとしてるか、そんな気がします。

時期は少し前後しますが、文芸評論家の東浩紀氏があるネット住人とのトラブルにより、ネットでの活動をほぼストップしました。

なぜ、ハイカルチャーの住人がトラブルを起こし、ネットから去っていくのか。
「馬鹿」というのはたやすいですが、どう「馬鹿」なのか思考してみたいと思います。

ちょっとしたいらだちと集団心理がはてブを馬鹿にする

――日本のネット空間の「悪いところ」って例えばどういうところでしょう。

 (15秒間沈黙)

――はてブコメントの問題(Twitterで、「はてな取締役であるという立場を離れて言う。はてぶのコメントには、バカなものが本当に多すぎる」などと書き、炎上した件)とか?
画像

 ああ、あれ? うーん、そうですねぇ……。

 こういう話はしにくいんですよ。何でしにくいかというとね、僕はいま、個人としてインタビューを受けているけれど、はてブコメントについて言うとね、「僕は日本語圏ネット空間について発言することを許されていないんだな」と思った。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045_2.html

なぜ、見ようによっては被害妄想にも取りかねない発言を、かつて「ネットは新時代を迎えた!」と唱えた人がいってしまうのかすこし考える。
(まあ、インタビュアーもやらしい編集するなあ、とも思いますが)

ここで、彼がかつて「馬鹿」と評していたはてなブックマークの「馬鹿」を分析してみようかと思います。
サンプルとして、上記の梅田さんインタビューのブックマークを出してみます。

http://b.hatena.ne.jp/entry?mode=more&url=http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html

現在(6/718:40時点)でブックマーク1313user。(公開分のみ)
ブックマークの状況をキャプチャーします。

見ての通り、6/3くらいの時点で7〜8割を超えてしまい、あとは皮肉にもロングテール状態になっています。ロングテールってマイナス面でも起こりえるのですね(w
そして、後ろになればなるほど、コメントする人が激減してるということ。さらには、だんだん中立な意見が出てきて、そのうち、おそらく本来的な意味で「ブックマークを使ってる」と思う人がぽつりぽつりとブクマする。
個人的にはこの状態は論理的にむしろバランスが取れている気がします。

でも、初期の発言を見てると、本当に自分のスタンスを否定された気分の反射神経でしか文脈を読み取れてないと思われる「こなれてない発言」のブックマークが多いです。そして、ある程度その空気に影響された人がその発言にボカボカはてなスター(これは沈黙の賛成票と受け取れます)をつけていくとある種の偏った論調ができあがります。
そしてさらに影響されて、一方的な論調で他の人がブログで似たような記事を書き、その空気はネット空間で支配的になる、そういう空間の偏重が生じます。この空気は、中学校のいじめの変な力関係に通じる、もしかして日本のいじめ構造そのもの?かもしれないです。
「集団痴」という皮肉用語がありますが、まさに偏重してる空気ってのは時に思いっきり気持ち悪い匂いを発します。
これは2chの特にスレ消費スピードの高い所でも見かけますが、その空気を見て「2chって気持ち悪い」とすべての2chを切り捨てる非ネットユーザーと変わりないと思うのですよ。

おいらが、割と発表時からゆっくり目にこの日記を書いてるのも、瞬発的にこういう類の記事を読んで書くと絶対影響される!のがあります。
特に最近では、ブクマコメするときは事前に他のコメントを絶対見ない、そういう制限を設けないとやっていけなくなり、少し息苦しいなと思う今日この頃です。

しかし、ネットを扱ってるとどうしても「早いレスポンス」を欲しがります。
おいらとて、ブログ書いたら2〜3日はコメントやブックマークないか気になって、ついつい仕事を忘れて見に行ってしまいます。
そして、そのレスポンスの結果が「ひどい」と思ったら大抵心が折れます。

炎上の件で梅田さんのミスがあるとしたら、「言葉の使い方が立場と合ってない」それだけな気がします。
(まあ、個人的にはtwitterの使い方の過渡期にハマった(テキトーなミニサロンから、テキトーなアウトプッターに変化し始めていた)のもありますが)

でも、特に自称「ネット強者」はちと考えてほしいんですよね。
本当に、その発言は自分の物かどうか、批判に足るレベルなのかどうか。と。