陵辱エロゲ販売に関する大きな河というかなんというか

実はエロゲ自体「一回「水月」つーのを当時の友人から薦められてやったけど、プレイするめんどくささが先行しちゃって1エンディングでやめちゃった」な思い入れのない人間なんですが、この辺のやりとり見てて気になってきたので少しだけ。

公に流通するなら、せめてPostal2のようではあるべきでしょう。どうしようもない変態が男も女も動物も見境なく強姦して歩くが、NPCもまた端から異常者で、油断しているとPCも酷い目に遇う、おまけに警察や自警団が襲ってくる、あっはっは、こいつまじ鬼畜、ってかこんなことやらせるおれが鬼畜、うわ、やられてるよ、やられるとHP下がるのな、あ、終ってもまだ下がる、病気貰っちまったよ、あ、撲殺されちゃった、というゲームなら、女性でもげらげら笑いながらプレイできる――有害図書指定は間違いないでしょうが。しかし凌辱ゲームがそういう方向で社会と折り合うことはまずない。それはもっと繊細な、個人的な、絶対に笑いものにされてはならない押し入れの中の支配の夢であることは、私も承知しています。性とは、実に、感じやすく脆く、くすりと笑われるだけで雲散霧消しかねないものですから。
2009/6/17 日記(記録はないが、批評家・佐藤亜紀氏と思われる)
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/06/2009617.html

暴力描写なら流通するのはありだが、陵辱描写が公に流通するのは困難だ、なぜなら、性というのは色んな意味で繊細な問題でありそれを簡単にゲーム化なんて有害な人間を生み出すからヤバイよ!ってとこでしょうか。で、いいのかな?
えー、暴力ならオッケーなの?な疑問は個人的にあるけど、これは別の話。

それに対する、エロゲーム作家・高橋直樹氏(id:NaokiTakahashi)の反論。

陵辱エロゲの世界観はチープなものが多いです(純愛エロゲがチープじゃないという意味ではないですが)。
なんか規制派の人たちは、俺達の頭が悪いからそんなチープなものしか生み出せないのだ、とでも思ってそうな気がするんですが、そんなことないから! いくら俺達がアホでも、こんな小学生が考えたような設定、わざとに決まってるから!
敢えてとてもありそうにないチープなものを書いてるんです。莫大な財産やら超能力やら魔法やら無駄に果敢な行動力やらを持つ、出るとこに出ればヒーロー、あるいはダークヒーロー、少なくともそれなりのヴィランたりうる素質のある主人公が、その絶大な力をたかがその辺の女をアレするために使ってしまうくだらなさが、俺の思う陵辱エロゲの醍醐味なんです(リアル犯罪小説みたいのを目指してる作品もあるのかもしれないけど俺の守備範囲からは外れます)。
少なくとも俺は、例えばタランティーノ映画の馬鹿らしさと陵辱エロゲに通じるものを感じて、そこを目指して書いてるつもり。
もちろん、くだらないものを書くことを通してくだらなくないものを描くことだって出来ますね。
2009/6/17 SNEG @NaokiTakahashiの日記
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20090618/p1

もともと陵辱描写自体チープで雑多なのは当たり前であり、それを社会に合わせて高尚化とかは無理だよ、そして、それを男は娯楽として楽しんでるんだよ!しょうがないじゃん!そんな印象。
(6/18 22:20 高橋氏より「しょうがない」じゃなくて「チープさに意義があるんだ」とのブクマコメントあり。なるほど、チープそのものに何らかの意義というか、男としてのなにかがあるのか、と解釈。コレでずれてたらごめん)

おいらはこの人のエロゲーム規制に対するいらだちの記事を結構読んでるので、気持ちはわからなくもない。そして、確かに、男のエロ欲望ってのは割と原則的にチープであり、商売としてエロコンテンツは必要なんだ、ってのも理解は出来る。と自分の中では思ってる。
これいうと炎上ものかもしれないけど、「「本人も愉しんでいる」「いやよいやよも好きのうち」というレイプ神話」ももしかして有りなのか、と感じてはいる。決して一般論でないけど、たまにはいそうな、そんな感じ。でも、おいらの意見は基本的に適当なのであんまり本気にされると困る。

でも、時々流れる集団強姦事件(その例:京都教育大のアレ)を見たり、知人の被害報告(詳しくは言わんが聞いていておぞましかった…)を聞いちゃうと、ゲーム見て現実にやっちゃう人いたらどうしよう…な気分になりそう、そういう女性的にアンビバレンツな気分はある。実際、身近な女性は案外「望まないセックス」を恐怖に感じる人が多いです。自分すら含めて。

ただ、有村氏(id:y_arim)がいう「エロゲーよりもさらにカジュアルに流通している凌辱エロ同人誌」が問題といわれちゃうとなんか違う気がする。別にカジュアルだろうとマイナーだろうと、陵辱シーンをエロのおかずとして処理することに別に問題はないし、実際にやっちまうトリガーの犯人捜しはこの手の問題の解決にはあんまりならない気がする。
まあ、ITベンチャー的なプロテクト策として「陵辱ゲー買う人は個人情報(特にGPS機能ある携帯電話情報)を登録して定期的に監視する」とかちらっと思いついたけど、微妙な抑止力にはなるんだろうけど、本質どうなるのかはあんまり変わらない。携帯持ってないって言い張れば逃げ切れますしね。

ただ、現実に犯罪的な陵辱をやっちまう層ってのは、別に知識として陵辱シーンを知ってその興奮を現実化してしまうのではなくて、割と自己中心的なメンタリティを女性に強引に向ける、意外とプリミニティブ性願望な気がするんですよ。個人的には、な。
どっちかというと本当は、特に体育会系男性コミュニティの暴走が結構問題かもしんない。スーパーフリーも件の京都教育大のアレも、「女性を食い物にする」ことを前提とした集団は結構あって、その食い物にされないよう女性は防御する、が一番なのかもしんない。そういう集団ってある種の狂信的な部分があるので、言っても聞かないし。
そういう、強姦に関する犯罪メカニズムを知らないと娯楽の陵辱も嫌う、これもしょうがない話なんですね。

一回、さっきの案を利用して実験で虚構の性暴力ゲームと犯罪の因果関係をしっかり検証してもいいけど、人権的にどうなんだろうな。それができれば、もう少しエロゲ業界も楽になるのかなあ。

すいません、高橋さん。おいらには完全には陵辱ゲームの販売を擁護しきれないみたいです。端切れ悪くて申し訳ないです。